「悲しい」を受け止めるほうれい線

季節が春へと移り変わる今時期、最近よくお客様にお話しする養生法は「デトックス」です。

体の中にある老廃物を外に出すと心地よく健康的に過ごせるわけですが、お客様とお話していて、感情のデトックスも必要かもなと思いました。

頬のたるみを気になさっている50代のお客様は、モンテセラピーフェイシャルを受けられていて、今はレベルアップをほぼ毎月受けに来てくださっているのですが、最近は、

「自分の頬のたるみ(ほうれい線)が気になり過ぎて、他人の顔でも頬に目が行ってしまう」

「エステの後、いつも夫には『変わった』と言われるけれど、職場などで人と比べてしまい、悲観してしまう」と仰っていました。

「感情」が見た目に与える影響

「心と体はつながっている」と言われるように、感情と体は一体で、それは無意識に姿勢や表情といった見た目にも現れます。

例えば「悲しい」という感情があるとき、体を丸めたくなりますよね。

小さく丸く、うずくまる。

当然顔も口角が下がったり、眉間にしわが寄ったりして悲しい表情になります。

強い悲しみのときには分かりやすく現れますが、日常のちょっとしたことでもこうなります。

例えば先ほどの「あー、なんで私はこんなに頬がたるんでいるんだろう」というようなちょっとした自分への悲観も反映されるのです。

この、「あーあ…」とため息をつくような感じは、全身の力が抜けてしまうような感覚になりますよね。

体中に力がみなぎるような、エネルギッシュな感じには決してなりません。

「あーあ…」と力が抜けた時の姿勢は、背中が丸まり猫背になります。

これが毎日鏡を見るたびに、他人と会うたびに何度も繰り返されたら、その姿勢が定着してしまうのです。

毎日少しずつの影響なので、見た目に表れるのも少しずつ。

だから最初の内は気づきません。

「悲しい」の影響を受けるのは、ほうれい線の部分

顔も悲しい表情が定着しますが、それはとくに頬に出やすくなります。

中医学の五行学説でお話しすると、『情緒』の「悲」の五行は「金」です。

その五臓は「肺」で、五腑は「大腸」です。

この経絡(↓)を見て下さい。

「大腸経」という経絡は、ちょうどほうれい線に沿うように「気」が上へ向かって流れています。

「肺経」は鎖骨の下あたりから指先へ流れています。

「悲しい」という感情は体にとってもストレスですが、とくに「肺」を傷めやすく、その損傷は経絡にも現れます。

なので、ほうれい線が目立ちやすくなり、肩が内側に巻き込むような猫背になってきます。

体は、表情も含めてこうやって内側の状態も表しているのです。

「感情」は体調にも影響を与える

ちなみにこの方、元々アレルギー性の咳が出やすいそうで、症状は何年も落ち着いていたそうですが、ここ数か月は咳が出るようになり、止まらなくなることもあるそうで、

「なぜだか悪化してしまった。フェイシャル中にも咳をしてしまうかも…」と仰って心配されていました。

これを「ストレス」で片付けることもできますが、もっと詳しく言うなら、そしてその根本はというと、

咳もアレルギーの悪化も、「悲」という情緒が「肺」に損傷を与えた結果。

お客様の心配をよそに、この日は咳は一度も出ませんでした。

確かに、私も自分に当てはめて考えると、人と比べて悲しくなることなんてしょっちゅうあります。

ただ自分事で考えてみると、本当は「人と自分を比べている行為自体が悲しい」と思いました。

だからご本人が心の奥底で悲しんでいるのは、これじゃないかなと。

「他人と比較して」ではなく、「たとえ他人にとやかく言われようとも、自分が満足している」

そんな風に自分にだけ目を向け、自分自身を見られたら…。

そういうきっかけが、このフェイシャルでできたらいいな…。

そんな意図をしてトリートメントに入りました。

結果、「今日は何か違うことをしたんですか!?」「いつもより長めにしたんですか?」

と尋ねられるほど今までにないくらいリフトアップ&小顔になり、偶然なのかどうなのか、咳も出ませんでした。

もちろんいつも通りのトリートメントをしたのですが、私のこの意図(感情)が影響したのだと思っています。